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 中韓両国が2015年6月1日、自由貿易協定(FTA)に署名し、年内の発効を目指して手続きを進める。日本は両国と日中韓FTAの交渉を進めているが、中韓に「置いてきぼり」をくった格好だ。

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 アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立をめぐっても、日本は米国などとともに蚊帳の外に置かれた形で、経済力を付けた中国に押されまくっているようにも思えるが、果たして、今回のFTA問題、日本への影響はどの程度なのか。

■韓国にとって中国は最大の貿易相手国

 今回の合意は、FTA発効から20年で両国とも貿易品目の9割強の関税を撤廃するというもの。金額ベースでは中国は85%、韓国は91%に達し、無関税品目の交易額は韓国から中国への輸出が730億ドル(約9.1兆円)、中国からの韓国への輸出は418億ドル(約5.2兆円)規模になる。

 韓国にとって中国は最大の貿易相手国で、輸出の4分の1を占める。韓国産業通商資源省の試算では、中韓FTA発効から10年で、韓国の国内総生産(GDP)を0.96%押し上げ、5万人超の雇用創出が期待できるとしている。韓国は米国ともFTAを結ぶなど、二国間FTAを貿易政策の柱に据えており、今回のFTAをてこに、中国との関係を一層深め、恩恵を享受することを狙っている。

 韓国とのFTA締結へと中国の背中を押したのは米国主導で日本も交渉に加わる環太平洋経済連携協定(TPP)だろう。中国にとって3番目に大きい貿易相手国である韓国は、これまで単独でFTAを結んだ国としては経済規模が最大になり、昨秋妥結したオーストラリアとのFTA並び、韓国とのFTAはアジア太平洋地域で先進国との経済連携強化戦略の重要な柱になる。

 中国はFTAの基本方針として「全方位」を掲げるが、自国を抜きにTPP交渉が進むことへの警戒感があり、同じくTPP交渉に参加していない韓国を抱き込み、日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国など16か国で自由化をめざす東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などTPP以外の多国間交渉で主導権を握りたいという狙いが伺える。

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