| MENU | MENU | MENU | MENU | MENU | MENU |
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【チューリヒ】スイスの小さな村グレッヘンは、スキーやハイキングが楽しめる古くからの観光地だ。そればかりでなく、独自の為替相場で観光客を呼び込んでいる。
1月中旬に、この村のホテルやレストランはここ3年半にわたって訪問客に提供していた優遇為替相場を、1ユーロ=1.30スイスフランに微調整した。スイス国立銀行(中央銀行)がユーロに対するスイスフラン相場の上限を撤廃すると発表したことを受けたスイスフラン急騰への対応策だ。この村の新たな為替相場は、外国為替市場での1ユーロ=1.04フランという水準よりずっとユーロ圏からの観光客に有利だ。
村を訪れるのはほとんどユーロ圏からの観光客だ。この為替相場により、標高4000メートル級のアルプスの山並みに囲まれたグレッヘンの古風なバーやレストランでユーロを持った観光客の購買力は高まった。
観光局のベルノ・ストフェル局長は「例外的な政策だ」と認め、「例外的なときなので」と付け加えた。
スイスの企業はフラン高への適応に苦慮している。1月15日の1ユーロ=1.2スイスフランというフラン相場の上限撤廃後、フランは急伸した。製造業の中には従業員に一部の時間を無休で働くよう求めたり、コストの安い場所に生産を移転したりした企業もあった。
ただ、観光業などホスピタリティ産業ほど打撃の大きい産業はない。スイスフラン高で同国の宿泊施設やリゾート地が、訪問したいと考えている人々の多くにとって手の届かないものとなってしまった。スイス政府観光局の概算によると、ユーロに対してスイスフランが1%上昇するごとに宿泊日数が0.9%落ち込む計算だ。
スイス連邦統計局が8日に公表した統計によると、4月には欧州からの訪問客の宿泊数が約11%落ち込んだ。それまで数カ月間も減少が続いていた。全世界からの訪問客の宿泊数は0.6%減少した。
スイス政府観光局のエグゼクティブ・バイスプレジデント、ウルス・エーベルハルト氏は、「観光業は、まさに矢面に立たされている」と話した。同氏はホスピタリティ産業の売り物は国内でしかつくりだせないものなので特に影響を受けやすいと指摘する。
こうした状況に対処するために、部屋代を下げるホテルも出始めた。利益率が下がるにしても、空き室率を低く抑えることを狙ったものだ。ヌーシャテルにあるホテルは「フラン高対策委員会」を結成し、2泊分の料金で3泊できるようにした。
グレッヘンのホテルやレストランも2011年に、訪問客に対して1ユーロ=1.35フランの優遇相場を提供すると決定した。
中銀が1月にフラン相場の上限を撤廃したときも、この村のホテル経営者やカフェの所有者など観光事業を手掛ける人々は、観光客の引きとめを目指して優遇為替相場を続けることを投票で決めた。
こうした優遇相場は宿泊、スキーのリフトやスキースクール、その他店舗などで適用される。ただ、客がユーロ現金で支払いをする場合に限られる。
ストフェル氏は、村民たちは地元の特別な為替相場によって生じる最大30%の損失を負担するほうが、客足が遠のいてもっと多くの損失を被るリスクを取るよりはましだと判断したと述べた。
「われわれはケーブルカーやホテルやレストランを運営しているだけだ」とし、「中央銀行の人たちのような気にはなれない」と続けた。
By John Revill